3級を受験したけど、2級にも挑戦したい。でも、2級は難しいと聞くけど、どれくらい難しいの?
商業簿記と工業簿記があって、範囲が広いからどちらからどのように勉強していけばいいの?
どれくらい勉強時間が必要なのか知っておきたい。
そんな疑問をお持ちの方にオススメの記事でございます。
本記事の内容
私は、平日にフルタイムで仕事をしながら、日商簿記3級と2級に合格しました。
簿記3級は2か月ほどの勉強で取得しましたが、記事タイトルを「失敗から学んだノウハウ」としたように、簿記2級を1年ほど紆余曲折して合格しています。
その経験を基に、どのようにすれば、より効率よく取得できるかをお伝えします。
簿記3級を受験した前提※で、2級の難易度を含めた簡単な概要と、勉強方法や勉強時間について解説します。
※3級を取得していなくても、2級を受験できます。
日商簿記2級の概要
簿記2級は日本商工会議所が主催する検定試験です。
年齢制限などはなく、2020年からはcbtによるネットテストも開催されたため、いつでも受験することができます。
試験内容は、商業簿記と工業簿記から構成されています。
受験資格と合格基準
受験資格、合格基準は日商簿記3級と同じです。
試験内容
第1問〜第3問は商業簿記、第4問〜第5問は工業簿記の問題が出題されます。
試験時間は90分です。
3級と同様に、統一試験(ペーパー試験)か、ネット試験(テストセンターでの受験)を選択できます。
出題傾向は下表の通りです。
第1問 |
商業簿記仕訳問題5問(20点) |
第2問 |
個別問題1問(20点) ・株主資本等変動計算書 ・銀行勘定調整表 ・固定資産や有価証券の総合問題 ・連結精算表 ・連結財務諸表 |
第3問 |
決算書類作成問題1問(20点) ・精算表 ・財務諸表 ・本支店会計 |
第4問(1) |
工業簿記仕訳問題3問(12点) ・費目別計算 ・本社工場会計 |
第4問(2) |
・個別原価計算 ・部門別原価計算 ・製造原価報告書と損益計算書 ・総合原価計算 ・標準原価計算 |
第5問 |
・標準原価計算の原価差異分析 ・直接原価計算のCVP分析 ・直接原価計算の損益計算書 |
知らない言葉が多いし、範囲広すぎ、挫折しそう、って思いますよね。
私もそうでしたが、きちんと勉強すれば、誰でも合格できますのでご安心を!
一度、過去問を見て、雰囲気をつかんでみましょう。
ちなみに、2級のレベルはこちらの通りです。
経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。 高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。
(日本商工会議所HPより)
合格率
統一試験は下表の通りです(日本商工会議所HP参照)。
回 |
実受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
160(2022.2.27) |
17,448名 |
3,057名 |
17.5% |
159(2021.11.21) |
22,626名 |
6,932名 |
30.6% |
158(2021.6.13) |
22,711名 |
5,440名 |
24.0% |
157(2021.2.28) |
35,898名 |
3,091名 |
8.6% |
156(2020.11.15) |
39,830名 |
7,255名 |
18.2% |
過去2年間のネット試験の合格率は、40%前後です。
期間 |
受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
2020年12月~2021年3月 |
29,043名 |
13,525名 |
46.6% |
2021年4月~2022年3月 |
106,833名 |
40,713名 |
38.1% |
統一試験では、3級と同様に、バラツキがあります。
3級では過去5回のうち低くても28%でしたが、2級では一桁の%の回もあります。
ネット試験の導入によって標準的な問題が安定して出題されるようになったと思いきや、合格率は依然として低く、その難易度が伺えます。
受験費用
4,720 円(税込)ですが、インターネットで申し込んだ場合、別途550円の手数料が必要です。
日商簿記2級の勉強方法
試験内容を見て、逃げ出したくなりましたよね。
範囲が広く、内容が難しそうですが、勉強手順は簿記3級の時と同様に下記通りです。
- ステップ0:過去問を見る。
- ステップ1:学習計画を立てる。
- ステップ2:講義を試聴する。
- ステップ3:問題集を解く。
- ステップ4:過去問を解く。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ただ、簿記2級は範囲が広く、学習時間もそれなりに必要なので、勉強したことを忘れないようにすることが重要です。
そのためのアドバイスをいくつか紹介します。
学習方法の肝は、1周でマスターしようとしないことです。
簿記2級の勉強における注意点
ポイントは次のとおりです。
- できるだけ早く、全体を網羅的に理解する。
- 商業簿記と工業簿記を同時並行で進める。
- 問題演習を5周以上繰り返す。
- 適宜3級を復習する。
- 理屈を理解する。
できるだけ早く、全体を網羅的に理解する。
テキストの1ページ目から毎日少しずつ勉強していくと思いますが、1周終える頃には最初の方を忘れてしまいます。
簿記は体系的な知識を必要とします。
そのため、早い段階で全体像を理解していれば、各単元の理解もしやすくなります。
私の場合、1周目の途中で、「このペースでやると1周する頃には絶対最初の方を忘れる」と思ったので、途中から2倍速で講義を聴きました。
この時点で細部の理解は度外視で構いません。あくまで全体像を掴むことを優先します。
1周目の講義試聴の速度を2倍速に設定して、学習速度を強制的に上げ、できるだけ早く全体像を掴むことをオススメします。
商業簿記と工業簿記を同時並行で進める。
できるだけ早く網羅的に理解するためにもう1つ重要な視点がこちらです。
商業簿記の講義と問題演習を開始し、1周終えたあたりから、工業簿記に移ると、工業簿記を終える頃には、商業簿記を忘れています。
また、商業簿記の中で工業簿記の知識(勘定科目)を扱う場面がありますし、逆も然りです。
私も初めは商業簿記から開始していましたが、途中から同時並行に変更し、満遍なく記憶を定着させることができました。
しかし、同時並行で進めたとしても、1周する頃には両方とも初めの方を忘れるのでは、という意見もあると思います。
確かに、同時並行で進めても、分量と学習時間は変わらないので、忘れてしまいます。
とはいえ、一科目を重点的にやってから次の科目の学習に移るといった勉強方法は非効率です。
受験勉強を思い出してもらうと、複数の受験科目を同時並行で勉強していましたよね。
問題演習を5周以上繰り返す。
一度解けた問題であっても、範囲が広いので、他の問題に取り組んでいる間に忘れてしまったり、最終的に苦手な分野は生じたりします。
私の場合、連結会計や標準原価計算については特に何度も講義を聞き直し、問題集と過去問を共に5周以上しました。
無論、もう解かなくても大丈夫、できるところを復習するのは時間の無駄、という意見もあると思います。
もちろん、全て5周以上する必要はありません。
苦手なところ、間違えやすい問題を繰り返しましょう。
適宜3級を復習する。
3級の内容をど忘れして、「あれ?どうやって仕訳するんだっけ?」といったことが起こります。
また、3級ではうわべの理解だった事柄を、2級でより深く学んだことによって、「そうゆうことだったのか!」と3級での学習を昇華させることができます。
理屈を理解する。
理屈と紐づけて理解しておけば、記憶に定着しやすいことは自明です。
また、簿記3級と異なり、解法丸暗記が通用しない問題も出題されるので、理屈を理解することをオススメします。
私の場合、受験目的が、合格することではなく、仕事や日常生活で使える簿記を習得したかったので、時間がかかってでも理屈の理解に徹しました。
何よりせっかく勉強するからには、合格を目的にするのではなく、理解して使える簿記を習得した方がいいですよね。
ちなみに、使用した講義やテキストは、簿記3級と2級がセットになった通信講座です。
「3級・2級講義パック」という最も安価なコースを選びました(答練や公開模試がついていないコースです)
無料で講義DVDを請求できるので、テキストを探されてる方は、資料請求して見てください。
日商簿記2級の勉強時間
一般的に、3級を学習した上で、さらに200時間必要と言われています。
範囲が広く、何周も問題集を繰り返す、というところから、勉強時間の察しがついた方も多いと思います。
個人差はありますが、それくらい時間がかかるということです。
私の場合、正確な時間を計測していませんでしたが、少なくとも200時間は超えていました。
平日:0〜2時間
休日:0〜6時間とまちまち
直前1週間(平日):1〜2時間
直前1週間(休日):4〜6時間
社会人はフルタイムで働いている場合、平日の朝と夜、休日しか時間を取ることができません。
忘れやすく、かつモチベーションを保ちにくい状況です。
そういった意味でも、「勉強方法」の繰り返しになりますが、できるだけ早く全体像を掴むことが重要となってきます。
モチベーションを維持するために
範囲が広い分、効率的に勉強したとしても、数か月〜半年は時間を要します。
私の場合、2021年4月から勉強を始め、2022年5月に合格するまで、モチベーションが持たず、勉強しなかった期間もありました。
受験目的や期限にもよりますが、長期戦になるのであれば、習慣化し、気長に取り組むことが重要です。
- 習慣化
- 他のことと同時並行
まずは習慣化し、強制的に勉強するようにすると同時に、他のこと(勉強でもなんでも)も同時に行うことで、気晴らしやいい意味での「逃げ場」を作るのもいいでしょう。
私の場合、英語やプログラミングの勉強も同時に進めていました。
簿記2級だけを缶詰ですると、成果が出てない状況でモチベーションが保てない可能性があるからです。
高校や大学の受験勉強でも、気晴らしに異なる科目を勉強する、というやり方をとっていた方も多いと思いますが、それと同じです。
簿記2級は、業種によっては就職にも有利です。
また、私のような研究職であっても、その知識が業務上役立つ場面が多々あります。
本記事が、勉強の一助になり、一人でも多くの簿記2級を取得して、仕事や日々の生活に役立ててもらえると嬉しいです。